2012年10月あべ力也(減税世田谷)決算認定意見開陳


2012.10あべ力也(減税世田谷)決算認定意見開陳

平成23年度一般会計歳入歳出決算認定他すべての決算認定に賛成の立場から意見を申し述べます。

 国の復興予算とは震災の復旧、復興のために組まれた特別会計(東日本復興特別会計)で、5年間で少なくとも19兆円を投じることになっています。その内、10.5兆円は復興増税で賄うもので、国民も「被災者のためになるなら……」と認めたものです。
 ところが、そんな予算が被災地とはまったく関係ないところで、まったく関係ないものにジャブジャブ使われていたというのです。復興のためと称して大増税し国民に負担を強いておきながら、国民の善意を踏みにじり、震災を悪用、焼け太りする、許し難い悪行に、野田民主党政権への国民の信頼は地に落ちたといっていいでしょう。「近いうち」とは言わずに即刻、内閣総辞職か衆議院を解散して国民に信を問うべきです。

地方自治体では不況による税収の落ち込みや、平成24年から3年間は年間100万人もの団塊の世代の方が高齢者の仲間入りすることから社会保障費の増大なども重なり、財政的に厳しい状況からなかなか抜け出せずにいます。世田谷区の財政は、税収の落込みと財源不足補填に伴う基金の取崩しによって、多様化する区民ニーズと少子高齢化への対応や扶助費の増加といった益々増大する財政需要に応えようとしているのに比べて、無駄の削減や基礎的行政運営費ならびに固定費などの内部経費の圧縮等に取り組んではいるものの歳出抑制は一向に進んでいません。行政側は、そうした歳入不足を補い財政の健全化に向けて、受益者負担や公平性を理由に各種行政サービスの区民負担の増額を提示しています。
 その詳細は、施設使用料の値上げ、認可保育園・区立幼稚園の保育料値上げ、新BOP学童クラブへの利用料の導入などで、これにより増加する区民負担は年間約4億円です。
 ところが、平成23年度世田谷区各会計歳入歳出決算審査意見書によれば、財政指標全体としてほぼ適正水準を維持しており、比較的健全な財政運営であったと評価しています。また、将来の財政需要や景気変動にも耐えうる財政基盤の確立を図ることが大きな課題だとしていますが、

一方、世田谷区の不要額は120億9356万9063円と他の22特別区と比較しても、100億円を超える多額の不要額を計上しているのは、世田谷区だけです。不要額を縮減し、他の事業に振り向けることや予算の圧縮が可能であったことに鑑みれば、予算査定の厳格化が必要です。大田区は、「決算見込調」の実施により、歳入歳出の見込みを早期に把握し補正予算へ反映することにより不要額の縮減を達成しています。世田谷区もしっかり取り組むべきではないでしょうか。
 いづれにしても、行政は常に肥大化する性質があり自ら修正することが難しいため、政治的に縮減に向けた不断の改革と見直しが不可欠であることは論を待ちません。

行政側から提示される財政健全化計画に関して、その手法の正当性や合理性の検証は、今後の自治体運営における区民への負担と給付の公平性や施策提供の持続可能性を判断する上でも必要です。
限られた財源の中で、何かを継続または新規に実施しようとしたら、何かをあきらめなければならない。まさに「トレードオフ」の関係が成り立ちます。こうした何をあきらめて、何を選ぶのかといった場合のインセンティブは何なのか?またそれは誰が決定し、どういった説明責任を誰に対して果たすのか?そうしたプロセスの情報公開が住民の目線で成されているか?など、政策決定過程の見える化は、開かれた自治体への課題でもあります。

さて、こうした考察の上で、改めて考えなければならないのは、世田谷区という自治体はそもそも誰のものかということです。一般に納税者のものと考えがちですが、果たしてそうでしょうか?確かに自治体は納税者の納める税金を原資に運営されるわけですから、一義的には正しいということが出来るでしょう。でも、自治体住民の納める税金から労働の対価として給与を貰っている職員や、自治体の発注事業から、受注代金を得ている出入り業者、また、補助金を受けている各種団体、さらには区議会議員、首長など、利害関係人(ステークホルダー)全てのものということができます。であるならば、歳入不足を納税者である区民にのみ転嫁することは、社会正義や公平公正の観点から正しいといえるでしょうか?これも役人特有のロジックから生じる自治体運営上の主要矛盾のひとつと言えるのではないでしょうか。
役人の「厳しい財政状況」という合い言葉が、区民に不当な負担を強いる合い言葉であってはならないと思います。

 経営の神様と言われた松下幸之助氏の言葉に「好況よし、不況なおよし」というのがあります。不景気には問題点を発見しやすく、社員と危機感を共有しやすい。だから痛みを伴う不採算部門の撤退や給与削減なども耐えてもらいやすい。そうした改革をしっかりやって筋肉質な組織をつくっておけば、次の好景気に大きく羽ばたくことができるというわけです。これは単なる精神論ではありません。実に理にかなった言葉です。つまり不況で製品が売れないから、消費者の価格に転嫁するのではなく、内部努力で採算性を確保できる体質改善を図ったということです。自治体経営にも言えることではないでしょうか。

 革新的創造の無いところに進歩はありません。今、流行の言葉で言えば「イノベーション」ということになります。少子高齢化と企業の海外移転による雇用の消失、さらに加えて東日本大震災からの復興と原発問題を抱えている今、この閉塞感を打破するには、社会のあらゆるところで「イノベーション」を起こすしかありません。
国の内外で未曾有の国難に直面している今だからこそ初心に帰ることは大切ではないでしょうか。

 決算委員会の中でも紹介した、英エコノミスト誌の「2050年の世界」は大変興味深い予測をしています。一部を紹介しますと、
「2050年、日本のGDPは韓国の半分となり、平均年齢はアメリカの40歳に対し52.7歳と高齢化のトップランナーとして人類が未だ見たことの無い老人の国に突き進んでいる。
 また「シュンペーター理論が現実のものとなる。」としています。シュンペーターの言うイノベーション「創造的破壊」とは、絶えること無く古いやり方を吹き飛ばして、新しいやり方と入れ替わることで、それは速度を増していくとしています。
さらに続けて「このイノベーションの大きな波は、民間セクターは勿論、公共セクターにも広がる。というのも、政府は税金をもっと活用しようと努め、国民(納税者)は民間で手に入るのと同じレベルの公共サービスを求めるからだ。技術革新によって、共同作業のコストが大幅に削減され、公共セクターが民間さえしのぐ程の根本的な変革を遂げるのはほぼ間違いない」国家機関は官僚支配から「プラットホーム」へと自己変革を遂げ、政府は、公共セクターの生産性向上を求める圧力から逃れられないだろう。」としています。すべてが当たるかどうかはわかりませんが、傾聴に値するのではないでしょうか。

 日本は、「経済は一流、政治は三流」と言われてきましたが、これは経済すなわちビジネスの世界では、激しい競争に勝ち残るために常にイノベーションが求められ、実践してきたからに他なりません。
時代は大きく変わろうとしています。パラダイムシフトやイノベーションは公共部門特に議会でも間違いなく起こっています。私たち世田谷区議会がその先頭に立つためにも議員一人ひとりが変わらなければなりません。
 また、行政システムの思い切った見直しやそこで働く全ての職員が、前例や慣習にとらわれず自ら変わろうとすることが大切です。そして、その舵取り役である首長や議会が、果敢に変革に臨み、社会正義を実現しながら、しっかりとした「成長戦略」を描くことの重要性がいま問われています。
以上申し述べて意見といたします。

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