国会の怠慢に「違憲」が突きつけられた。最高裁に是正を求められながら同じ区割りで衆院選が行われた事態を「看過できない」と断じた東京高裁判決。選挙無効こそ回避されたものの、度重なる警告にもかかわらず格差を解消できない立法府に対し、司法の不信感は限界に達している。
最高裁が平成21年選挙を「違憲状態」とし、抜本改革を迫ったのは23年3月。次の選挙までに約1年9カ月の猶予期間があったが、同じ区割りで選挙に突入し、格差は2.43倍に拡大した。高裁は「審議が遅れたのは、政党間に意見の対立があった定数削減問題などを同時に決着させようとしたため」と切り捨てた。
これまで衆院選をめぐり最高裁が出した2度の「違憲」判決はやり直しの弊害などを考慮し、選挙無効とはしない事情判決にとどまっている。ただ、高裁判決は、国会に是正期間を与えるため一定期間経過後に無効とする案も提示。無効の結論も含めて具体的に検討したことをうかがわせた。
衆参両院が最高裁で「違憲状態」とされるなど、国会に対しかつてない厳しい視線が注がれている。今後続く高裁判決で、戦後初の選挙無効判断が示される可能性もある。(滝口亜希)