パートタイマーの働き方に影響大!? 新たに出現する「106万円の壁」

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THE PAGE2015年12月18日 19:57パートタイマーの働き方に影響大!? 新たに出現する「106万円の壁」

2016年10月から、社会保険加入対象者が拡大します。これにより、主にパートやアルバイトなどで働く女性の働き方に影響を及ぼすといわれています。具体的にどんな変化があるのか、まとめてみましょう。

対象拡充で「130万円の壁」が「106万円の壁」に引き下げられる!?
短時間労働者は現在、正社員の所定労働時間の4分の3以上働かないと、健康保険や厚生年金に加入することができません。この条件が緩和され、新たに以下の条件に当てはまると社会保険の加入対象者になります。

●週20時間以上の短時間労働者(1日の所定労働時間が8時間、週休2日の場合)
●月額賃金8.8万年以上(年収約106万円以上)
●勤務期間1年以上
●従業員501人以上の事業所(適用拡大前の基準で適用対象となる労働者の数で算定)
※学生は適用除外

これまで、短時間労働者として配偶者の扶養内で働く場合、自分がどれだけ稼ぐかについては配偶者控除の対象となる「103万円の壁」、本人に健康保険や厚生年金の加入義務が発生する「130万円の壁」がよくいわれてきました。

「103万円の壁」は、年収103万円を超えた部分に所得税がかかり、配偶者の所得税に対する配偶者控除が受けられなくなります(103万円を超えても141万円未満なら、配偶者特別控除があります)。また、配偶者の会社からの配偶者手当が受けられなくなることもあります。ただし、配偶者の控除額が減っても、それ以上に稼いでいれば世帯年収はプラスになります。一方、「130万円の壁」は、年収130万円を超えると健康保険や厚生年金を納付するため、稼いだ以上に社会保険料を支払う可能性があります。

今回の適用拡大により、501人以上の事業所で週20時間以上勤務し、年収が106万円を超える場合、社会保険料納付の義務が発生します。つまり、該当者は「130万円の壁」ではなく、「106万円の壁」を意識する必要が出てきたのです。厚生労働省は、適用拡大による対象者数は約25万人 と見込んでいます。

負担額はどうなる? 適用拡大のメリット・デメリット
健康保険、厚生年金の加入対象となった場合、具体的にどんな影響があるのでしょうか。負担減になるかどうかは、配偶者が自営業か会社員かで、毎月の手取りに差が生じます。

たとえば、Aさんは夫が自営業の第1号被保険者、Bさんは夫が会社員の第3号被保険者の場合。どちらも40歳で東京在住、月収約10万円とします。

「平成27年度保険料額表 平成27年9月~」によれば、月収約10万円の場合、月額標準報酬は9万8,000円で、厚生年金保険料は約8,700円、健康保険料は約5,700円です。社会保険料は合計で約1万4,000円となります。

Aさんは夫が自営業のため、もともと国民健康保険と国民年金に加入し、社会保険料を負担していました。国民年金は約1万5,000円。さらに地域や所得によって異なりますが、国民健康保険を払っています。これが健康保険、厚生年金加入による切り替えで、社会保険料は減る計算になります。

Bさんは夫の扶養で社会保険に入っていたため、これまでは社会保険料の負担はありませんでした。しかし、健康保険、厚生年金加入でその分の社会保険料が新たに発生するため、毎月の手取り額が減る計算になります。

第3号被保険者の場合は負担増になるのですが、メリットはあるのでしょうか? 伊藤会計事務所代表で公認会計士の伊藤英佑さんに聞いてみました。

「厚生年金に加入することで、将来受け取れる年金が増えます。その点はメリットといえるでしょう。ただ、年収が106万円を少し超えるぐらいの人は負担増の側面が大きく、手取りを維持するために『働く時間を減らす』『年収を抑える』『従業員数が501人未満の会社に転職する』人が出てくるのではないでしょうか」

適用拡大の背景
健康保険や厚生年金の加入対象者を広げる意図について、厚生労働省の「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」では次のように説明しています。

●被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正する。

●社会保険制度における、働かない方が有利になるような仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える。

この目的について、伊藤さんは「働き方の多様化で、パートや派遣社員という形態で働く人が増加しています。これらの形態で働く人の年金保障が十分でないといった課題解決のためという面は、もちろんあるかもしれません。しかし、膨張を続ける日本の社会保障費の財源確保(財政再建や年金制度維持)のために、負担範囲を拡大したい政府の意向と見て差しさわりないかと思います」と政府の思惑を指摘します。

今回の法改正では、主に小売業や外食産業に影響が大きいとされています。適用拡大の条件に合致した場合、どういった働き方をすればよいのでしょうか。目先のお金の損得だけではなく、自分のライフプランをどう描くのかを見つめ直す一つの機会になりそうです。

(南澤悠佳/ノオト 取材協力/伊藤会計事務所伊藤英佑)

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