【名言か迷言か】 空虚な首相会見…懺悔の気持ちは?

 野田佳彦首相は16日、衆院を解散した。同日夜の記者会見では、(1)持続可能な社会保障(2)バラマキ公共事業でない経済政策(3)脱原発依存(4)冷静な外交安全保障(5)政治改革-の5つの政策課題を列挙した上で、「民主党公認の候補者は次の選挙より次の世代を考えた候補者がそろう。誰がこの国を憂い、胆力と覚悟を持っているか。国民の判断を賜りたい」と支持を訴えた。だが、民主党政権3年間の総括や反省の弁は一つもなく、空虚な言葉が続くだけだった。

 「今回の総選挙の意義は、2013年以降の日本のかじ取りをどの方向感で進めていくかだ。前へ進めるのか、政権交代の前に時計の針を戻して古い政治に戻るのか。これが問われる選挙だ」

 野田首相は16日夜の記者会見で、こう熱弁した。自身が設定したい衆院選の争点は、「時計の針を戻すのか」ということらしい。だが、衆院選は、民主党政権に対する国民の「通信簿」だ。政権交代を成し遂げた民主党が初めて迎える衆院選だから、あるべき争点は民主党政権の総括だろう。

 民主党政権とは何だったのか。マニフェスト(政権公約)の大半は達成できず、無駄遣いをなくすことで実現するとした16.8兆円の財源捻出もできなかった。

 鳩山由紀夫元首相は、米軍普天間飛行場の移設問題で約束した「県外移設」「国外移設」を実現できなかった。菅直人政権は、尖閣諸島沖で発生した漁船衝突事件で中国人船長を処分保留で釈放した。東日本大震災時の原発事故対応はどうだっただろうか。野田政権は消費税増税という大課題を実現させたものの、不祥事や資質不足が露見した6人の閣僚が交代。結局、離党者が相次いだ。「新しい政治」とはどんな内容だったのだろうのか。16日の衆院解散に先立つこと2日前。野田首相と山口那津男公明党代表の党首討論では、興味深いやりとりがあった。

 「一票の格差と定数削減は何としてもやり遂げたい。定数の比例削減の部分は、民主党は修正連用制という考え方の削減案を出している。御党(公明党)にもご理解をいただける考え方ではないか」

 野田首相は、選挙制度改革をめぐり、一部連用制を取り入れた民主党の比例定数40削減案を引き合いに、公明党の協力を求めた。

 連用制は一言で言えば、中小政党を優遇する制度だ。得票率と議席占有率の乖離(かいり)が大きい小選挙区制の弊害を是正する狙いがあるとされる。だが、民主党の一部連用制案では、有権者が比例代表選で投じた一票を、小選挙区で議席がほとんど得られない中小政党に対してだけ「比例代表並立制」と「比例代表連用制」でダブルカウントさせることにしている。

 これは人口変動などでやむを得ず選挙区間で生じる「一票の格差」の問題どころではない。「制度そのものが憲法違反となりうる」との指摘は根強い。得票率と議席占有率のバランスを重視するのであれば、議員定数全体に対する比例代表制の割合を高めればよい。

 結局、山口氏は、野田首相の要請に対し「傾聴すべき点もあるが、幅広い合意ができるに至っていない」と慎重な立場を表明せざるを得なかった。

 野田首相は16日の記者会見で「どの政党が定数削減に後ろ向きだったのか。どの政党が一番、懸命に成し遂げようと努力したかは国民は理解いただける。私たちは政治改革の先頭に立っていく決意だ」と胸を張った。調整力のなさから、本丸の「一票の格差」是正まで頓挫させてしまったのは、どこの党なのか。選挙制度改革の与野党協議をダラダラと行うことで衆院解散先延ばしの口実とし、連用制を政局的に利用してきたのは、どこの党だったのか。有権者は冷静に判断するだろう。

 《囚人は前科を誇り、宗教家は懺悔(ざんげ)を誇る》

 明治、大正、昭和時代を駆け抜けたジャーナリスト、長谷川如是閑はこんな言葉を残したそうだ。次の衆院選で、民主党大敗は早くも確実視されている。相次ぐ離党者はその表れだろう。民主党は参院で第一党となっており、衆院選後も影響力を持つとはいえ、このままでは二大政党制の存続すら危ぶまれてしまう。野田首相は、「前科」を誇ることなく真摯(しんし)に懺悔する姿勢を示して選挙戦を戦ってほしい。(小田博士)

◇…先週の永田町語録…◇

(12日)

 ▽反省を込めて

 安住淳民主党幹事長代行 反省もあって言うと、都合が良く人気のある政策だけを言えば、もてはやされる。現実に体系化した時にどうかなと思う。(日本維新の会についてテレビ番組で)

 ▽演技か否か

 安倍晋三自民党総裁 「うそつき」との批判は相当こたえている。演技なら相当なものだが、だんだん表情にも影が差している気がする。(「近いうち」の衆院解散合意をめぐる野田佳彦首相の様子に関し講演で)

(13日)

 ▽ご飯と違う

 野田佳彦首相 「近いうちにご飯を食べよう」という話ではないから、きちんと政治判断をしなければならない。時期はこれまで通り明示しない。(衆院解散について衆院予算委員会で)

 ▽「の」入っただけ

 石破茂自民党幹事長  昔あった太陽党に「の」が入っただけという感じだ。政策で政治全体を良くする政党であってほしい。(石原慎太郎前東京都知事らが結成した新党「太陽の党」に関し記者会見で)(14日)

 ▽私でさえ孤独

 自見庄三郎国民新党代表 あれこれ言わなかったが、豪快に笑っていた。首相は孤独だ。肩の力を抜けばいい。国民新党の代表ですら孤独だ。(野田佳彦首相との党首会談後、記者団に)

 ▽決まり文句でなく

 安倍晋三自民党総裁 ただいま紹介で、大変お忙しい中と言っていただいた。だいたい決まり文句だが、今日は本当に忙しくなってしまった。(党首討論や衆院解散をめぐる動きを踏まえ、共同通信の講演で)

(15日)

 ▽ばか正直解散

 玄葉光一郎外相 伝家の宝刀の抜きっぷりは見事だった。野田佳彦首相は徹底して党より国家、あるいは次世代を考える人だ。「ばか正直解散」と言ってもいいかもしれない。(首相の衆院解散の決断についてパーティーで)

 ▽たそがれの党

 市田忠義共産党書記局長 沈みゆく、たそがれの党だ。掲げている政策や路線は上りゆく太陽ではなく、夕日であり、たそがれだ。(太陽の党について記者会見で)

(16日)

 ▽党首力

 安住淳民主党幹事長代行 離党者も出して本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだが、民主党を変えるのは野田佳彦首相だ。党首力が問われる選挙になる。(記者会見で)

 ▽金目だけ

 脇雅史自民党参院国対委員長 定数削減がなければ国会議員歳費を減らせと言うのは金目だけでものを考えている証拠だ。本質と懸け離れている。そんなみっともないことを日本の首相が言うのはまさに恥ずべきことだ。(党参院議員総会で)
http://sankei.jp.msn.com/ 同感なのはあの会見を聞いたすべての国民です!

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